2019年4月3日水曜日

歯周病は、歯をささえる歯肉やその周辺組織が炎症を起こし、悪化すると歯槽骨が溶け、歯を失うことにもなる病気です

日本人にもっとも多い病気、それは歯周病かもしれません。
厚生労働省の「歯科疾患実態調査」によると、歯周病は2534歳の若い世代ですでに約80%4554歳の中年層では88%もの人にその兆候がみられます。これほど歯周病の人が多いのに、それがどんな病気なのかはあまり知られていません。これは歯周病が初期には痛みもなく、歯肉(歯茎)がちょっとはれたり、歯磨きのときに少し出血する程度なので、そのまま放置している人がほとんどだからでしょう。
歯周病は、歯をささえる歯肉やその周辺組織が炎症を起こし、悪化すると歯槽骨が溶け、歯を失うことにもなる病気です。その原因となるのが、しこう歯垢(プラーク)です。歯垢というと、食べカスのことだと思っている人が多いのですが、実は歯周病菌という細菌のかたまりなのです(*1)。歯垢がたまると、歯周病菌の酵素や毒素によってまず歯肉が炎症を起こします(歯肉炎の段階)。次いで歯と歯肉のすきま(歯周ポケット)に歯周病菌が増殖し、炎症が歯根膜や歯槽骨にまで及びます(歯周炎の段階)。この状態を放っておくと、歯がぐらつき、やがて抜け落ちてしまいます。
歯周病がまねく全身の疾患
歯周病が、ほかの病気とも関連があることは、以前から知られていました。たとえば糖尿病やリウマチになると、細菌に対する免疫力が低下するため、歯周病が悪化します。
その反対に最近になって、歯周病になると、心臓病をはじめ呼吸器疾患、糖尿病などになりやすいこともわかってきました。

とくに心臓病は、歯周病と密接な関係があります(*2)。
歯周病菌は歯肉から血管をとおって心臓にも移動し、血管壁に炎症を起こします。すると炎症部分が動脈硬化を起こし、狭心症や心筋梗塞の引き金となるのです。動脈硬化の部分からは、肺炎クラミジアなどと並んで、歯周病菌が数多く発見されます(肺炎クラミジアは肺炎などを起こす原因菌のひとつです)。
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また呼吸器疾患については、歯周病菌をふくむ唾液が気管支から肺に入ると、肺炎を引き起こすことがあります。高齢者の場合は、唾液の誤飲をしやすいため、とくに注意が必要とされます。
糖尿病については、歯周病菌に対する免疫反応から生じるサイトカイン(生理活性物質)が、インスリンの働きをさまたげることがわかってきました。歯周病があると糖尿病のリスクが高まるだけでなく、治療のときも血糖値のコントロールがむずかしくなります。
歯周病菌だけがこうした病気の原因ではありませんが、要因のひとつであることがはっきりしてきたのです


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