2019年7月30日火曜日

まず、歯の周りについている歯石を除去します

歯周病の治療は、歯周病の進行を手伝ってしまうような誘因を除去し、改善していくことがメインになります。
また、進行の程度によって最終的な治療の目標が変わってきます。
軽度の歯肉炎
目標:元の状態に戻すこと
まず、歯の周りについている歯石を除去(除石)します。軽度な歯周炎の場合、歯周ポケットもそんなに深くなく、歯槽骨の吸収もほとんどないため、歯石を除去し、適切な歯磨きを行うことで元の状態に戻ることがほとんどです。
後は、再度歯石が付着しないよう適切な歯磨きの指導と、他に不適合な修復物による段差や咬み合わせなどの誘因がないかチェックします。ある場合にはその部分の治療を行います。
中等度の歯肉炎

目標:現状の歯槽骨をこれ以上吸収させないこと
まず、歯の周りについている歯石を除去します。中等度の歯周炎の場合、歯周ポケットはやや深めで、歯槽骨の吸収もありますので、ポケットの底部付近に付着した歯石を除去し、歯根面の歯周病菌に感染している部分もきれいにする必要がありますので、より細かく除石を行う必要があります。それでも、炎症の改善が見られない場合には、歯周ポケットをなくすための歯周外科手術を行います。後は、再度歯石が付着しないよう適切な歯磨きの指導と、他に不適合な修復物による段差や咬み合わせなどの誘因がないかチェックします。ある場合にはその部分の治療を行います。
治療後は、腫れていた歯肉は引き締まり歯周ポケットはなくなりますが、歯槽骨の吸収してしまった部分は元には戻らないので、歯が長くなったように見えます。
また、場合によっては"しみる"といった症状が出ることもあります。
目標は現状維持になりますが、再生療法を行うことで、元の状態に戻すことが可能な場合もあります。
重度の歯肉炎
目標:咬合機能と審美性の回復
まず、その歯が残せるかどうかを診断します。
残せる場合には、除石、歯周外科手術、他の歯との連結、などを行い、その歯にかかる力を極力軽減させる必要があります。骨吸収が大きい場合や、無理に残しておくことで他の歯に悪影響を及ぼしてしまうような場合には抜歯します。特に上下とも大臼歯の場合には、1本の歯に複数の歯根があり、形も非常に複雑であるため、歯根と歯根の間(根分岐部)に骨吸収がある場合には、抜歯を行わなくてはならないケースが多くなります。
基本的に歯周病の治療は、歯科医師、歯科衛生士が行うことは、歯石の除去(細菌に対する治療)と再度歯石が付着しないようにお口の中の環境を改善し(環境に対する治療)咬合のバランスを整えることです(咬合に対する治療)。
後は、患者様に生活習慣の改善(宿主に対する治療)をお願いします。この4つが揃うことで歯周病の治療は成り立っていきますので、患者様と歯科医師、歯科衛生士の連携が、治療には最も大切です。

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