2019年2月11日月曜日

最近の研究から、特定の『全身の状態』と歯周病の間に深い関係があることがわかってきました

歯周病は歯周病菌の感染によって起こります。口の中が清潔でなくなると、歯や歯とハグキの境目(歯肉溝)などに細菌の塊であるプラーク(歯垢)がこびりつきます。そのプラーク中の歯周病菌は酸素を嫌う性質を持つ嫌気性(けんきせい)の細菌であるため、自分たちの居心地のよい場所を作ろうと歯肉溝にすみつき増殖します。一方、私達の体はこのような細菌を防御する機能を持っています。歯周病菌は多かれ少なかれすべての人のお口の中に存在しますが、すべての人が歯周病にかかっているというわけではありません。発症するかどうかについては、歯周病菌と、歯周病菌から身体を守ろうとする防御機能とのバランスが問題となります。
防御機能が同じように働いていても、お口の中が不衛生で歯周病菌が多ければ、歯周病を発症しやすくなります。また、歯みがきを十分に行っていて、お口の中の歯周病菌が少なくても、身体の防御機能が低下していれば歯周病を発症しやすくなってしまいます。
なお、身体の防御機能に影響を与える要因はさまざまです。一部の歯周病では、遺伝的要因の影響が大きい場合もありますが、成人の方の歯周病のほとんどは、『お口の環境』や『生活習慣』、『全身の状態』が大きくかかわっています。『お口の環境』とはお口の衛生状態や乾燥、歯ぎしりの有無、噛みあわせの状態などを指します。お口の衛生状態が悪化すると、歯周病菌が増加し、歯周病を発症しやすくなります。

また、口腔乾燥によって唾液が少なくなると、お口の中で細菌が増殖しやすくなる可能性があり、放っておくと歯周病などの症状が悪化する恐れがあります。歯ぎしりの癖があったり噛みあわせが悪い場合も、歯周組織に負担がかかり、歯周病のリスクが高まります。
さらに喫煙、ストレス、不規則な生活などの『生活習慣』も重要な危険因子です。タバコを吸う、疲労やストレスをためている、よく噛まずに食べる、間食が多い、つい夜ふかしをしてしまう、そんな人は歯周病に要注意です。

最近の研究から、特定の『全身の状態』と歯周病の間に深い関係があることがわかってきました。これらにより、歯周病菌に対する防御機能が弱まり、歯周病が進行しやすくなる場合や、逆に歯周病が全身の状態を悪化させる場合もあるという報告があります。
歯周病の対策には、ブラッシングによるお口の中の清掃(プラークコントロール)により歯周病の原因であるプラークや歯周病菌を取り除くことが必要です。また、ブラッシングだけではみがきにくい奥歯や歯間部のプラークには、デンタルフロスや歯間ブラシ、液体ハミガキや洗口液の使用が有効です。

生活習慣も重要な危険因子なので、タバコを吸う、疲労やストレスをためる、よく噛まずに食べる、間食が多い、つい夜ふかしをしてしまうということが続かないように気をつけましょう。さらに、歯周病は全身状態とも深い関係がありますので、歯周病と全身状態の両方をうまくコントロールしていくことも大切です。

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