2019年3月13日水曜日

毎日の歯磨きで歯周病は予防できる?

多くの患者さまからよく、「毎日、歯磨きをしているのに、どうして歯周病になってしまったのですか?」ということを聞かれます。その答えの一つが歯周病が人から人へ移る感染症であるということです。
感染症である以上、物理的な清掃(歯磨き)だけで感染予防をすることはできません。
さらに、歯周病菌はバイオフィルムと呼ばれる強力なバリアで守られていますので、歯磨きだけでは、そのバリアを除去することが非常に困難です。
さらに、歯の表面に長期間付着していた歯垢が、唾液中のカルシウムを吸着することによって歯石になります。
歯石自体は何も悪さをしないのですが、歯石が歯肉の溝(歯と歯肉の間には溝があり、歯肉の炎症が進行するほど溝が深くなります)にも付くことで、歯肉に対する刺激(歯肉の溝を押し広げようとする刺激)を与えます。また歯石には歯垢が極めて付着しやすく、新たに歯石に付着した歯垢の中にいる細菌(歯周病菌)の働きにより、歯肉の炎症をさらに進行させていくことになります。
歯石は歯ブラシでは取り除くことが出来ません。
つまり、いくら歯磨きを毎日しっかりしたとしても歯周病予防には限界があると言うことです。ではどうすればいいのか?
歯科用ユニット
その答えは、定期的に歯科医院で歯垢・歯石・バイオフィルムを除去してもらうことです。
歯科医院では専門の器具を用いることにより、これらを徹底的に除去することができます。

米国で次のような報告があります。
歯周病治療を終了した患者さんを10年間にわたって追跡調査したところ、治療終了後に定期的に歯科医院にて歯垢・歯石・バイオフィルムを除去することを続けた人は、そうでない人と比べて歯を失う本数に4倍の開きがあったことが分りました。
3カ月~6カ月に1度の定期検診を受信されることをお勧めします。
とにかく早めの来院が重要!
歯周病の怖い所は、ガンや脳卒中と同様に痛みが伴わないため、あなたが気付かないうちに病気が進行してしまい、気付いたときにはもう手遅れになってしまっているということです。
歯周病にかかった患者さんは、助けを求めて歯科医のもとに来院されます。
「グラつきだした歯を治したい」「以前と同じように物が噛めるようになりたい」という希望を持って、歯科医院に訪れます。
しかし、多くの場合には、「グラついた歯を抜きます」と診断されてしまいます。歯科医院で行われる抜歯のうち、約8割が歯周病によるものだという報告もあります。
歯周病は末期になると、決定的な治療法や特効薬がありません。
歯科医師としても、歯周病の初期段階での治療は自信がありますが、末期では延命がせいぜい、というのが本音です。
しかし、早目の来院によって、その後の状況が大きく変わってきます。

0 件のコメント:

コメントを投稿