2019年11月7日木曜日

歯の表面が溶けて穴があいた状態を齲蝕(うしょく)と呼びます

歯の表面が溶けて穴があいた状態を齲蝕(うしょく)と呼びます。歯はエナメル質と呼ばれる頭(歯冠)の部分と、歯ぐきの中に隠れている根っこ(歯根)の部分がありますが、口になかに出ている歯の頭の部分がう蝕で穴が開いたりして欠損した状態の歯を「むし歯」と呼んでいます。厳密に言うと歯の欠損の定義はその原因によって少し分かれるのですが、広い意味で、むし歯とは「穴があいたりして欠損した状態の歯」と考えると理解しやすいでしょう。

むし歯の原因は?
教科書的には、う蝕の原因はカイスの4つの輪で説明されます。う蝕になるには、まず「歯」があって、そこに甘い「砂糖」があって、酸を作り出す「むしば菌」がいて、歯が溶けるだけの「時間」がある。この4つの条件がすべて重なったとき、う蝕が発生してむし歯になる、という考え方です。古くからある考え方なのですが、とてもシンプルで分かりやすいので、今回はこの4つの輪についてお話させていただこうと思います。
むし歯にならないために

今回は、むし歯になりやすいかどうか、というテーマについて、古くから言われているむし歯の原因「カイスの輪」のお話をさせていただきました。いかがでしたでしょうか?何か少しでも参考になることがあれば幸いです。カイスの4つの輪にそって、むし歯の原因をお話させていただきましたが、実は私は、虫歯の原因はカイスの4つの輪だけではないと考えています。虫歯の病因論って本当はもう少し複雑なのです。

例えば上皮であるエナメル質が細菌に突破される大きな原因として「力」という重要な因子があるんですが、カイスの輪では「力」の要因をうまく説明できません。私は、う蝕の好発部位というのは「歯垢が溜まりやすい場所」ではなく「力が集中する場所」であるという考え方が重要なのだと思っています。外力でエナメル質がチップするから細菌に付け込まれる。むしばを語る上で、この「力」の因子はとても重要だと考えています。
教科書的な説明がすべての患者さんに当てはまることはありません。治療法も1つじゃないし、症例によっては治療するのか治療しないのかでさえ意見が分かれます。だからこそ、治療より正確な診断が大切だし、治療より「なぜむし歯になったのか」について考える方が大切だし、患者さん一人一人に合わせた医療が重要なのだと思います。
むし歯になりにくい口腔環境を作りましょう。自分にあった予防方法があるのです。歯が弱くても、甘いものが好きでも、工夫次第でむし歯にならないように予防することができます。いつまでも自分の歯でおいしく食事ができるように、笑顔で健康で幸せな長生き人生を目指して、一緒に頑張りましょう。

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