2018年1月2日火曜日

歯周病と糖尿病は、とくに相互に発症や進行に関わりがあるといわれています

歯と歯肉の隙間(歯周ポケット)に歯垢(プラーク)や歯石が溜まり、その歯垢(プラーク)・歯石に含まれる歯周病原菌が原因で、歯肉に炎症を起こす病気です。進行すると歯周病原菌から出る毒素が、歯を支えている歯槽骨を溶かしてしまって、歯がぐらついたり、抜け落ちてしまいます。最近では、歯を失う原因のナンバーワンが歯周病だと言われています。平成17年の厚生労働省「歯科疾患実態調査」では、1524歳が36.5%、3544歳が84.27%、5564歳が85.79%の人たちが歯周病を患っていると言われています。特に4050歳代では歯周病による歯の喪失が多く60歳代では平均10本の歯を喪失しています。

歯周病の治療をせずに過ごしていると、その間ずっと全身の健康を損なうリスクを体の中に温存し続けることになります。これらの病気から体を守るためにも、プラークや歯石を取り除き、健康な状態を維持すること=プラークコントロールが大切になります。
糖尿病
歯周病と糖尿病は、とくに相互に発症や進行に関わりがあるといわれています。歯周病菌が増えると、それに伴って病原菌の成分が血液中に流れ込みます。流れ込んだ成分は、生体の細胞を刺激していろいろな活性物質を作り出します。このことが全身にいろいろな効果を及ぼしています。その活性物質のうちのひとつ、TNFαという物質は糖尿病にも関わっていると考えられています。
血液中の糖の濃度(血糖値)をコントロールするホルモンをインシュリンといいますが、血管中の歯周病菌の成分TNFαが血糖値をコントロールするインシュリンの働きを弱め、血糖値を下げる反応を阻害していることがわかってきました。糖尿病になると、体の免疫力を低下させるため、歯周病菌への抵抗力も低下させています。細胞がインシュリンに対して反応しづらくなっているタイプの糖尿病では、歯周病の治療により歯周炎がおさまると、血中のTNFαが減少し、血糖値が安定しやすくなることが示されています。
肺炎
歯周病菌が存在すると、歯肉から血や膿が出て、お口の中でさまざまな細菌が繁殖しやすい環境になっていきます。歯周病菌を含んだ唾液が気づかないうちに気道を通って気管支や肺に入り、細菌が繁殖して肺炎を引き起こす、ということがあります(誤嚥性肺炎)。
年齢に伴い嚥下反射や、気管支を守る働きが低下するため、高齢の方はとくに肺炎にかかる危険性が高くなります。お口の中の細菌をできるだけ減少させるための口腔ケアが必要です。

基本の治療
歯周病の原因になっているプラークと歯石の除去を行ないます。歯石はブラッシングで取り除くことができませんので、特殊な器具で除去します。治療の回数は歯周病の進行程度により異なります。23回の治療で済む場合から、多くの回数にわたる場合もあります。
これらの治療により、歯周組織が改善され、歯周ポケットの深さ(23mm)が維持されれば、メンテナンスに移行します。また、その状況に合った効果的なブラッシング法を指導させていただきます。

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