2018年1月23日火曜日

歯周病はさまざまな全身疾患の危険因子になります

歯周病は細菌の感染により、歯茎の腫れ(歯肉炎)から始まり、進行すると歯の周りの骨が溶け出してしまう(歯周炎)、炎症性疾患です。治療しないまま病状が進行すると健康な歯が抜けおちてしまうこともあります。30代以上の成人の80%が、歯周病に感染していると言われており、身近な歯周疾患の一つです。歯周病菌を減らすことで改善させることができますので、歯ぐきが少し腫れているなど心当たりがある方は、放置せずに必ず歯科医師にご相談ください。

歯周病はさまざまな全身疾患の危険因子になります
歯肉の奥深くに生息する細菌(歯周病菌)が全身に悪影響を与えるからです。口の中には何百種類もの細菌が生息していますが、嫌気性菌である歯周病菌は毒性が高く、その菌体成分(内毒素)や産生毒素が血管や臓器にダメージを与えることがわかっています。毒素は口の粘膜から血管に入り、体の中を運ばれ、さまざまな病気(心臓病、肺炎、糖尿病、早産等)を悪化させるのです。
糖尿病
糖尿病と歯周病は関連性の高い病気です。糖尿病の患者さんは歯周病が急速に進行します。糖尿病によって体の免疫力が低下するからです。一方、歯周病の患者さんは糖尿病が悪化しやすくなります。歯周病菌がインシュリンの働きを阻害するからです。糖尿病の治療のためには、口腔と全身の両面から治療を進めるべきなのです。糖尿病の治療を行う医師が、歯周病との関連性を軽視すると十分な治療効果が得られないといわれています。また、喫煙はこの2つの病気をさらに悪化させてしまいます。

肺炎
歯周病菌が誤嚥によって気管支や肺に到達し、気管支炎や肺炎を起こします。ご高齢の方や風邪などで体調が悪い方は誤嚥性肺炎の危険性が高くなります。また、集中治療室などで人工呼吸器を装着している場合には、特に肺炎の危険性が高くなり、口腔を不潔にしていると死亡率が6倍になるといわれています。
歯周病治療の手順
ステップ0:生活習慣(食事・喫煙・ブラッシングなど)のご相談や、現状の歯ぐきの検査、記録をおこないます。その後、治療法をご説明します。
ステップ1:目に見える歯石を除去します。
ステップ2:歯と歯ぐきの間の歯石を慎重に除去します。1回におこなう処置は、26本ずつです(処置には麻酔を用いることもあります)。それから歯面を磨き上げ、汚れを付きにくくします。
ステップ3(進行している人):歯にこびり付いた歯石や汚れを徹底的に除去し、また、必要に応じてほかの部分から健康な歯ぐきを移植し、骨の再生をおこないます。
ステップ4:処置後にはメインテナンスをおこないます。歯と歯ぐきは毎日使うもの。専門家による定期的なメインテナンスが必要です。

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