2019年8月14日水曜日

歯周病を引き起こす因子の一つは、むし歯と同じ歯垢です。食べた後に歯磨きをしないと、時間がたつと歯垢ができます

日本人の成人が歯を失う理由の一位は歯周病です。25歳以上の日本人の、実に80%超の人が歯周病の状態にあるという調査結果もあります。自覚症状がなくても、成人のほとんどが歯周病である可能性があるのです。ほとんどの方は、歯周病は歯茎が腫れる・血が出るといった症状が出て、最終的に歯が抜けてしまう病気だと考えているでしょう。

しかし、歯周病の本当の怖さは「あごの骨が溶けてなくなる」ということです。あごの骨が溶けると、入れ歯の安定が悪くなるなど歯を失った後の口腔内の環境にも悪影響を及ぼします。歯が抜けて終わり、ではありません。また、近年は歯周病が脳卒中、誤嚥性肺炎、心筋梗塞、糖尿病などを招き、全身の健康を脅かす恐れがあることも明らかになっています。

歯周病でも歯を残せる
歯周病治療=歯を抜く、と思い込んでいる方がたくさんいますが、歯周病はきちんと手入れをすれば歯を残せるケースも少なくありません。もう歯周病が進んでしまったという方も、今からケアすれば症状を改善して残りの歯を守ることも可能です。早めの受診をおすすめします。
歯周病にならないために
歯周病を引き起こす因子の一つは、むし歯と同じ歯垢です。食べた後に歯磨きをしないと、時間がたつと歯垢ができます。ブラッシングで取れなかった歯垢は、やがて歯石に変化します。歯石は固くて細菌が入り込みやすいため、歯周病菌の温床となるのです。歯周病予防の基本は、やはり丁寧な歯磨で口の中をきれいに保つことなのです。

8020(ハチマル・ニイマル)運動」を知っていますか?80歳になっても自分の歯が20本残るように、生涯にわたって歯の健康を維持しようと呼びかける取り組みです。歯は一度失うと再生しません。8020を達成するには、若い頃からの予防が欠かせないのです。
今、医療は「病気になって治療する」から「病気になる前に予防する」へと大きく転換しています。この「予防医療」の考え方は欧米ではすでに常識で、なかでも疾病の原因と結果が比較的はっきりしている歯科の分野では、より進んでいます。
患者さんに知ってほしい予防の大切さ
むし歯も歯周病も、大きな原因は歯垢です。歯垢を取るための器具や手法はすでに確立されていると言ってもいいでしょう。また、ご自宅での正しいブラッシングも大切です。これらを確実に行えば、むし歯・歯周病を相当な割合で防ぐことができ、患者さんの肉体的・経済的負担もぐっと抑えられるのです。

また、食べ方の見直しも有効な予防策のひとつです。よく噛まずに飲み物で流し込むような食べ方は、あごの発達を妨げ、嚥下機能を弱らせます。しっかり噛んでしっかり飲み込む習慣をつけましょう。正しい嚥下習慣を身に付けることは、高齢になってからの誤嚥性肺炎の予防にも効果を発揮します。

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