2019年8月29日木曜日

象牙質が露出すると、なぜ「冷たいもの・甘いもの」がしみるのでしょうか?

虫歯と知覚過敏~それぞれの治療法
虫歯と知覚過敏は治療法も異なります。この章では、虫歯と知覚過敏それぞれに対しておこなわれる一般的な歯科治療を確認することにしましょう。
2-1 虫歯の治療は「虫歯の除去」
虫歯治療は「虫歯になった部分を取りのぞいて、詰め物・かぶせ物で補修する」という方向性になります。ただ、虫歯の重症度によって治療法が変わる部分もありますから、簡単に解説したいと思います。
C1:エナメル質齲蝕
エナメル質に穴があいた段階なら、治療は簡単です。虫歯になった箇所を削り、「コンポジットレジン」と呼ばれる樹脂を詰めます。コンポジットレジンは白色なので、見た目にも自然に治ります。基本的に、治療は1回で終わります。
C2:象牙質齲蝕
象牙質に穴があくと、「甘いもの・冷たいもの」がしみるようになります。やはり、虫歯になった箇所を削って詰め物を入れます。虫歯の部位・大きさによって、コンポジットレジンまたは銀歯を詰めます。自費診療なら、銀歯の代わりにセラミック製の白い詰め物を入れることも可能です。
C3:歯髄の仮性露出
虫歯が歯髄(神経)まで到達すると、「歯の内部を無菌化する治療(根管治療)」が必要になります。細い針状の器具で内部の虫歯を除去し、再感染を防ぐための薬剤を詰めます。虫歯の大きさによって、詰め物・かぶせ物のいずれかを入れます。
C4:残根
神経が死んでしまい、歯冠(歯の本体)がほとんど失われた状態を指します。神経が死んだばかりなら歯を救えることもありますが、長く放置されていた虫歯はたいてい抜歯になります。
2-2 知覚過敏の治療は「鈍麻・凝固・封鎖」
象牙質が露出すると、なぜ「冷たいもの・甘いもの」がしみるのでしょうか? これは、象牙質の構造に起因しています。象牙質には、表面から歯髄(神経)につながる「無数の細い管」が存在します。この管を象牙質細管と呼びます。
象牙質細管の中には、組織液という液体が入っています。そして、温度変化・浸透圧変化が生じると、組織液が移動します。この「組織液の移動」により、歯の内部にある神経が刺激されて痛みが生じるのです。これが知覚過敏のメカニズムです。
つまり、次の3つの方法で知覚過敏の痛みを抑えることが可能になります。
・鈍麻…組織液の移動による刺激を感じにくくする
・封鎖…象牙質細管に封をして、刺激が組織液に伝わらないようにする
・凝固…組織液を固めて、動かないようにする
これだけではピンとこないでしょうから、それぞれの治療方針を簡単に説明することにしましょう。

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