2019年9月4日水曜日

歯周病菌には嫌気性細菌(空気を嫌う性格の細菌)もいます

最近の調査では、歯を失う原因の約75%は虫歯と歯周病です。多くの方が知らないと思いますが、虫歯も歯周病も風邪と同じ細菌による感染症で、これらの病気に対する知識と理解があれば予防できるのです。いつまでも健康な生活となんでも食べることができる食生活のために、虫歯と歯周病のことをもっと知って歯を大切にしましょう。
歯周病は歯周組織(歯をささえる周りの組織)に起こる病気で、細菌による感染症です。お口の中には500種類以上もの細菌がいて、その中で歯周病の原因となる細菌は10種類以上にもおよぶと言われています。※歯周病の原因となる細菌を歯周病菌と呼びます

歯周病菌はネバネバした物質を分泌しコロニー(集合体)を作ります。コロニーは成長し、バイオフィルム(歯垢)となります。このバイオフィルムは歯周病菌にとっては要塞そのもので、表面には免疫細胞や抗菌物質をはねかえすバリアが張られています。この中で、歯周病菌は自らの生存のために酵素を放出します。この酵素や細菌の構成する成分により歯肉に炎症がおこります。これが、歯周病の始まりである歯肉炎です。
歯周病菌には嫌気性細菌(空気を嫌う性格の細菌)もいます。この嫌気性細菌は歯面にそって歯周組織を破壊しながら歯肉の中に入り込んでいきます。歯と歯槽骨をつなぐ歯根膜は歯周病菌の進入とバイオフィルムの形成により破壊され、歯周ポケット(歯と歯肉の間の空間)ができてしまいます。私たちの体はバイオフィルムの進入をそのまま見ているのでしょうか?
もちろん、免疫細胞(白血球など)や抗体が出動し歯周病菌の進入を許すまいと、バイオフィルムを撃退するために酵素を出します。しかし、バイオフィルムの頑丈なバリアーには効かず、行き場を失った酵素によって歯肉がさらに破壊されてしまい、歯周組織の破壊が進み、歯肉の炎症がさらに進行し歯周ポケットを大きくしてしまいます。
こうなってしまうと、もう本格的な歯周病(歯周炎)です。

歯周ポケットに潜りこんだバイオフィルムは普通の歯みがきではとれません。そのままにしておくと、歯周病菌の排泄物や死骸は石灰化して歯石になり、歯周ポケット内の歯面にこびり付きバイオフィルムの拡大を助けます。こうなると、免疫細胞の出す酵素も効かず歯根膜は破壊され歯肉が後退し、歯を支えている歯槽骨までもが溶け始めてしまいます。
やがて、歯槽骨は歯を支えていることが困難になり歯が抜け落ちてしまいます。

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