2019年9月11日水曜日

歯の神経がなくなると一緒に血管もなくなってしまい、歯は枯れ木のようにもろくなります

お口の中には細菌がいっぱいです。お口の中の常在菌は少ない人で120種、多い人では350種以上も存在し、その数は少なくとも1000億個以上といわれています。その中のミュータンスレンサ球菌が食事に含まれる糖質からプラーク(歯垢)という糊(のり)のようにべたつくものをつくりだして、歯に強力に付着して繁殖を始めます。このプラークの中で砂糖や炭水化物が発酵し、酸が産生され、歯はその酸によって少しずつ溶けていきます。これが虫歯の始まりです。実際に虫歯ができてしまうのには4つの要素があり、すべての条件が揃った時に虫歯ができていきます。
1段階(CO)症状:自覚症状なし
虫歯の初期段階で、黒くなったり穴があいたりしないため、日常生活において気付くことはほぼありません。歯質が溶け始めているところがエナメル質に白い斑点のようにみえるくらいです。しっかりとした歯磨きや、歯を強くするフッ素を使うことにより、進行を止めることができるので歯を削る必要はありません。
2段階(C1
症状:自覚症状なし、まれに歯がしみる
虫歯はエナメル質内にとどまっていますが、自然治癒は期待できず、歯を削らないと治せません。この段階で虫歯を見つけることができれば、一度の治療で白い詰め物をするだけで済むこともあります。できればこの段階で気づきたいものです。ただここまで虫歯になっても症状はない場合が多く、定期健診などでチェックを受けることが大切です。
3段階(C2)症状:歯がしみる、甘いのもで歯が痛い
C1よりも虫歯が深くなると、エナメル質の内側の象牙質に達します。象牙質は神経に繋がっているため、冷たいものでしみたり、甘いもので痛みがあったりと自覚症状が出てきます。しかし神経は残すことができ、削った後は虫歯の大きさ・範囲、噛み合わせの状態によって、詰め物(インレー)や被せ物(クラウン)で治療していきます。
4段階(C3)症状:ズキズキ痛い、冷たいもの・温かいものがしみる、噛むと痛いC2を放置すると象牙質の深いところまで虫歯が進み、神経に達します。ここまでくると神経を残すことができず、神経を取り除き、根の治療をしなければなりません。C3になると何もせずとも痛みがありますが、そのまま長期間放置すると痛みが消えていきます。これは徐々に神経が死んでしまっただけであり虫歯が治ったわけではありませんので、忘れた頃に歯ぐきが腫れて食事ができなくなったり、歯がボロボロになって割れてしまったりします。また、神経が死んでしまうと根の中に細菌が侵入するため、これも根の治療が必要となります。
歯の神経がなくなると一緒に血管もなくなってしまい、歯は枯れ木のようにもろくなります。これによって、歯が割れる危険性が高くなり、その歯の寿命は大幅に短くなるので、C3になる前に虫歯を治療することが重要です。
5段階(C4)症状:自覚症状なし、物を噛むと痛い
虫歯の末期の状態です。根だけが残っている状態で、ほとんどの場合は抜歯になります。C3のように根の治療をすることもありますが、たとえ残したとしても歯がもろくなってしまっているため、長期的な予後は望めません。抜いた後はブリッジや入れ歯、またはインプラントになります。それぞれの方法に利点・欠点があるため治療法についてはご相談ください。

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