2019年9月25日水曜日

特に上の義歯では保険の場合、プラスチックで顎を広く覆わざるを得ないのです

保険と自費、いったいどこが違うの?
入れ歯(義歯)を作製する際には、日本の医療制度のもとでは「保険で作りますか?自費で質の高いものを作りますか?」と私たちは患者さんに聞かざるを得ません。
保険の入れ歯
ある程度はかめる。精密度、快適性、審美製、耐久性には限界あり。
これは保険で認められている入れ歯の作製方法や使用材料がごく限られたものであり、出来上がった入れ歯の品質も最良とは言いがたいからなのです。
保険と自費の入れ歯の違い
精密度・適合度
食べる、しゃべる、飲み込むなどの時の舌・頬・口唇・喉など顎の周りの動きに合致した義歯の形を作るには、吟味された材料と何回に分けた精密な型採りが必要となります。部分入れ歯の場合には、さらに維持のための針金が支えの歯にぴったりと適合するために、精密ゴムを使っての型採りが必要になります。こういった手間と材料の違いのために、保険の義歯と自費の義歯とでは精密度やその結果の義歯のがたつきに10倍くらいの差がでてきます。これが実際にはかんだ時の義歯の動きの差、「かめる」「かめない」の差となって出てきます。
顎の動きにそったかみ合せ
食べる、飲み込むなどの動きは単純な上下運動ではありません。顎は前後左右上下にさまざまな動きをしています。義歯に並べた歯はそれらの動きを邪魔せず、同時に顎の複雑な動きに合致することが必要です。このためには顎の動きを測定し、人工の歯のかみ合せを、器械の上と口の中の双方で綿密に調整することが必要です。このような操作は場合によっては顎の動きの変化に合わせて、数ヶ月にわたって行う場合もあります。保険の義歯では残念ながらこのようなことは難しいのです。ある程度のところで妥協せざるを得ません。一方、自費の義歯では丹念にかみ合せのチェックと調整を行って、咀嚼しても動きの少ない快適な義歯を作ることが可能なのです。顎の動きに合わせたかみ合せの義歯はかむほどに動かず、土手に密着して快適なものです。
装着時の快適性
特に上の義歯では保険の場合、プラスチックで顎を広く覆わざるを得ないのです。これがもとで「しゃべりにくい」「厚ぼったい」「違和感がある」などの訴えにつながりやすいものです。自費の義歯の場合には金属の薄い材料を使用することでかなりの程度これらの問題を改善することができます。
審美性
部分義歯の場合、針金が笑うと見えてしまう場合がしばしばあります。自費の部分義歯の場合には、設計を工夫して針金を笑っても目立たなくすることが可能です。
耐久性
保険の義歯の場合にはプラスチックのピンクの部分(床といいます)が使用しているうちに割れてくることがしばしばあります。自費の義歯の場合には丈夫な金属のフレームで作ることが可能なので、破損の比率はずっと少なくすることが可能です。
また人工の歯に付いても自費の義歯の場合には、より磨り減りにくい材質のものを採用しています。
これらのきちんと手をかけた治療を行うためには、保険の制約の中では無理があるのです。ただし、種々の理由で保険診療をご希望される患者さんには、保険で義歯を作製することももちろんしています。ただしその際には、義歯の出来上がりに残念ながら質の差があることをお伝えしてご了解を得るようにしています。

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